二日目は 矢次早なり 初なまり
これは江戸琳派の画家・酒井抱一(ほういつ)の歌。彼は俳諧師としても活躍した。創業500年を誇る江戸料理『八百善』には、彼がかつおを食べた様子が歌に残されている。夜の膳で刺身を食べ、翌日になまりを食べたのだろう。
なまり節はかつおの身おろしして、熱処理(蒸す、茹でる)後に骨を取った食材。一時期、江戸では空前の初鰹ブームがあったようで、この句に登場する「初なまり」は少しブームを笑っているような気もする。
現在では低カロリー、高タンパクで各種ミネラルが豊富なことから、なまり節は健康志向の人たちに人気が出ているそうだ。焼津には昔ながらの製法にこだわったなまり節の加工場が数多くある。
江戸時代の食卓の献立が今と繋がっている。この様子を知った酒井抱一はどんな歌を詠んだだろうか。
株式会社久星商店
静岡県焼津市焼津6-5-7