波が打ち寄せ、石が降る町

波が打ち寄せ、石が降る町

かつて浜通りは海が近く、波音の聞こえる通りだった。昭和60年代まで通りの東側が駿河湾に接していたため、暴風雨が来ると波が堤防を越えて家々を襲うことがあったそうだ。

かつて浜通りは海が近く、波音の聞こえる通りだった。昭和60年代まで通りの東側が駿河湾に接していたため、暴風雨が来ると波が堤防を越えて家々を襲うことがあったそうだ。浜通り付近の人たちは、高潮被害を防ぐため波除け堰(せき)を家や商店に設置した。

現在では防波堤などが整備され、浜通りまで波が来ることはなくなったが、古い家の軒先に波除け堰の跡を見ることができる。高さ50センチほどの石柱で溝が掘られている。この溝に板をはめ込んで波の侵入を防いだそうだ。魚の加工を手がけるぬかや斎藤商店の斎藤五十一さんは「私が高校生の頃までは高潮が来ましたね。それに、大きな波で石が浜から飛ばされてくることがあった」と当時の事を話してくれた。大変な災害も時を経て懐かしい思い出に変わっているようだった。

店先をバリアフリー化する際、波除け堰を取り除こうかと考えたが、先人の知恵を残そうとそのままにした。段差を無くし、スロープを付けたために板と地面に隙間があるが、当時は地面と板を隙間なく設置することができ、波の侵入を防いだという。もう使うことのない板を斎藤さんは大切に保管している。燒津の浜通り付近を歩く際、古くからある建物の玄関先に注目すると、燒津の先人たちの知恵に触れることができる。

ぬかや斎藤商店
焼津市城之腰109-1

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