郷土に自慢の祭があるのはいい物だ。焼津の祭と言えば、毎年8月12・13日に行われる焼津神社の大祭。「アンエットン」という独特のかけ声とともに焼津神社を朝10時に出発し、市内にある4ヶ所の御旅所に寄り、夜11時頃に神社へ戻る。その距離は6.5kmほど。
「東海一の荒祭」と、地元の人たちは口を揃える。よその人からすると、名前からしてさぞかし荒っぽい祭なのだろうと想像する。しかし、この「荒」は「荒っぽい」という意味ではなく、「素朴」「純粋」「まっさら」な気持ちで神様に向き合うという意味だという。
祭りの衣装は全身を白で統一した白装束。お祭りに対して、身も心も清らかであることを示し、派手な装飾などは慎むという。
写真提供:焼津神社
祭は一月以上前から準備が始まる。神聖な神輿は磨きや補修などを行う。ここで注目してもらいたいのが、漁師町ならではの技法。
神輿は屋根と胴、被衣棒が一切固定されておらず、「大廻し」と呼ばれる麻縄で締められている。漁師たちが継承してきた強く、しなやかなロープワークによって、時に激しい神輿の動きも大廻しが吸収する。
焼津神社などの鈴緒にもこの大廻しの技法が使われている。
開催は真夏。先人たちの純粋で素朴な気持ちにより守り伝えられている東洋一の荒祭りぜひご覧いただきたい。
焼津神社
焼津市焼津2丁目7-2