魚屋や市場に行くと、まるまると太ったかつおを見かけることがある。よく見てみると、かつおはとても美しい形をしている。
進化の過程で高速で泳ぐのに適した形にたどり着いたのだろう。泳ぎに適した実に無駄のない形だ。かつおは紡錘(ぼうすい)形で丸みがある。
水の抵抗を減らすために、背ビレはたたむことができるそうだ。かつおは時速20~50キロほどの速度で泳ぐ。きっと、海の中では弾丸のように泳いでいるのだろう。
体色は背側が濃い青色で腹側が銀白色。図案化されたかつおには、黒い線が描かれるが、実際にこの縞模様が浮かび上がってくるのは死後のかつおだ。海を泳ぐかつおはこの、黒い線の部分がコバルトブルーに輝いている。
船や陸に上げた瞬間、そのコバルトブルーは黒色に向かってみるみる変化していくという。海の中を泳ぐ美しいかつおの姿を陸上で見られるのも一瞬のこと。この本来のかつおの姿を見ることができるのは、漁師や釣り人だけの特権だ。
もし、一般の人が本来の美しいかつおの姿を見たければ、船に乗り釣り上げるしかない。ぜひ、一度、燒津沖でかつお釣りに挑戦してみてはいかがだろう。